たらおばさんのハーブよもやま話 Vol.3

ウイーンの冬は、舞踏会のはじまり
一昨日のシュテファン教会の前で繰り広げられた大晦日のドンチャン騒ぎが嘘のように静まり返った元旦のウイーンの朝。カフェで温かいメランジェ※を片手にリング大通りを眺めていると、市電も昨日の国立歌劇場で上演されたヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」のワルツの余韻が残っているような足取りでのんびりと走っています。
眠気覚ましにコーヒーをもう一杯頼もうとしたところへ、カフェのボーイが小さなお菓子をもってきてくれました。「ここでは新年にこんなお菓子を食べるんですよ」・・・そう、今月みなさまにご紹介する馬丁を型どった焼き菓子でした。
さて、11時になると、カフェの近くにある楽友協会で、ウイーンフィルハーモニーのニューイヤーコンサートがはじまります。ウイーンの一年のスタートは、世界に向けて発信されるこのコンサートのワルツではじまるといってもよいでしょう。
大ホール(黄金の間)に一歩は入ると、舞台の中央には春を先取りしたように、たくさんの花が飾られ、コンサートの開始を固唾を飲んで待ちわびているようです。
夢のようなコンサートが進むにつれて、いよいよ大詰めを迎え、みなさまもごぞんじの「美しき青きドナウ」のメロディーが流れてきました。この曲はプロシアとの戦争に大敗し、意気消沈したウイーンの人々を勇気づけるために、シュトラウスが作曲したものですが、もともとはウイーン男性合唱団のために献呈され、その後オーケストラ用に編曲されたワルツのなかのワルツです。
ワルツというと、ウイーンの冬はバル(舞踏会)の季節でもあります。
これはもとはハップスブルグ家の皇室舞踏会で、純白のドレスに身を包み、頭に可愛らしい小さな冠をかぶった「デビュタント」と呼ばれる20歳前後の女性達が、パートナーに付き添われて社交界にデビューしたのです。
ほかにも楽友協会、市庁舎、おもしろいところでは職業別にも舞踏会が連日のように繰り広げられています。
わたしも以前、王宮で開かれた舞踏会に行きましたが、ここでは盛装した紳士淑女たちが、仮面をつけて当時さながらのワルツやポルカに興じていました。
一緒に行った友人に、なぜ仮面をつけるのか伺いますと「仮面をつければ身分を明かさずに、一夜の淡い恋が楽しめるでしょ・・・」と、ロマンチックな返事がかえってきました。これもウイーンならではかも知れません。
舞踏会は、入場券さえ買えば誰でもどこの会にも行くことができます。
でも「ワルツが踊れない」とお悩みの方には、ダンススクールで開かれるミニレッスンを受けられることをお勧めします。短時間のレッスンで、その日の舞踏会は充分に楽しめるようになるそうです。あなたも一度舞踏会にいらっしゃってはいかがでしょうか。もしかしたら新年のあたらしいワンステップになるかも知れません。
それではこのあたりで、今月のケーキのレシピをご紹介いたします。
今回は馬丁型で焼いたケーキの上に、マジパンペーストで作ったきのこ、豚、クローバー、煙突掃除屋さんという新年の縁起物を飾りました。
今年も良い年でありますように。
※メランジェ 泡たてたミルク入りコーヒー(ウイーンの定番コーヒーです)
 
新年の焼き菓子
 
材料 (馬丁型または8X18X6cmのパウンド型1台分)
無塩バターまたはケーキ用マーガリン 100g(室温にもどしておく)
粉砂糖  100g(ふるっておく)
薄力粉  100g(ふるっておく)全卵  100g(溶いておく)
レモンの皮をスリおろしたもの  少々、バニラエッセンス 2〜3滴
塩 ひとつまみ
マジパンペースト(細工用マジパン)適宣 好みの色の食用色素 適宣
 
準備
1: 型に溶かしバター(分量外)をハケで薄く塗り、薄力粉(分量外)を軽く振る。パウンド型のときには型に合わせて紙を敷く
2: オーブンはあらかじめ160〜170度にセットしておく
 
作り方
1: バターをよく攪拌し、粉砂糖を3〜4回にわけて加え混ぜ、クリーム状になるまでよく攪拌し、さらにレモンの皮をすりおろしたものや塩、バニラエッセンスを加え、混ぜる。
2: 1に全卵を数回にわけて加え、よく攪拌し、ふんわりとさせる。
3: 2へ薄力粉を加え、ゴムベラまたは木ベラで練らないようによく混ぜ合せ、滑らかな生地を作る。
型に生地を流して35〜45分ほど焼く。
5分位で型からはずし、完全に冷めてから粉砂糖をふるう
 
高山厚子のプロフィール
東京都出身

フェリス女学院大学音学科ピアノ科卒業後、ウイーン・コンセルヴァルトワールに留学。シュタートラー教授にピアノを師事。
ウイーンガストロノーミッシェ・インスティテュートにおいて、ヴォルフガング・カルプヘン氏にウイーン菓子を師事する。
スイス・バーゼルにおいてカール・シルマン氏にマジパン細工を師事する。
その他、デュッセルドルフ、コンディトライ カフェ・マウス
ハーゲン、カンデルン、カフェ・ラコステにおいて研修を積む。
日墺文化協会会員 
日墺文化協会主催「ウイーンのお菓子教室」講師
高山厚子著書「ウイーン菓子12ヵ月」文芸社
 
日墺文化協会(http://austria.gooside.com/)へはこちらから

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