たらおばさんのハーブよもやま話 Vol.3

春の訪れを待ちわびるウイーンっ子たち。
「えっ、日本じゃ男性がチョコレートをもらえる日なの?あーぁ!僕はこの次は日本人に生まれたいなあ・・・」と、オーストリアの男性のこんなセリフ、どういうことと思われるでしょうか。じつはこれ、ウイーンの知人に日本のバレンタインデーの話をしたときのことです。
ここウイーンをはじめヨーロッパのバレンタインデーは、日本とまるで逆。男性が女性にプレゼントをする日なのです。一般的には花、チョコレートを送ります。だからバレンタインデーが近づくと、花の値段が日ごとにアップするので、経済観念のしっかりしているウイーンの男性にとっては、ちょっとした悩みの種なのです。
ちなみに日本の「義理チョコ」の類いはありません。花をいただく女性の喜びもひとしおといったところでしょうか・・・。私も留学中に何回かいただきましたが(義理花かな)とても感激したことを、いまでも憶えています。
雪が舞う2月のウイーンの冬空が、この日だけは春の陽射しのように見えるのも、バレンタインデーのなせるわざかもしれません。
さて、2月の行事でもっとも重要なのは、ファッシング(ファスナハト謝肉祭)です。キリスト教では、復活祭を迎える前に四旬節(40日間の準備期間)があり、この四旬節の前に行われる数日間のお祭りを「ファッシング」といいます。
この四旬節の間、日曜日以外は体面上肉を断つことになっているので、それ以前は厳しい冬を追い払うように、大いに飲み、食べ、歌い、踊りながら春の訪れを待ちわびます。そしてこのお祭りのときに欠かせないのが、生きる歓びの象徴とされているミモザです。ミモザを片手に街往く人を見ると、微かに春の訪れが聞こえてくるような気がします。
さて、2月のケーキは、バレンタインデーの花束とファッシングのシンボルであるミモザをイメージして、シュガークラフトで作りました。
カバーがされているため、中身のケーキは見えませんが・・・。ケーニヒスプロートというフルーツケーキに細工用のマジパンをかけ、その上を着色したシュガーペーストでカバーします。
このケーキは時間が経つとしっとりしてきますので、毎日薄く切ってお茶の時間にお召し上がりください。紅茶、コーヒーはもちろん、不思議と緑茶にも合いますので、ぜひお試しください。
 
ケーニヒスプロート
 
材料 (直径15cmのセルクル1台分)
バター 125g                  ブラウンシュガー 125g
バニラエッセンス 少々            塩 ひとつまみ
ラム酒 10cc                 卵 3個
薄力粉 160g                ベーキングパウダー 小さじ1杯
サルタナレーズン 180g            皮付きアーモンドプードル 25g
レモンピール 50g
 
準備
1: セルクルにバターを薄くぬり、ベーキングシートを貼っておく。
2: レモンピールは、こまかく刻んでおく。
 
作り方
1: 室温にもどしたバターをボールに入れて、ホイッパーでよく攪拌する。
2: (1)へ、ブラウンシュガーを数回に分けて入れ、さらに攪拌する。
3: (2)へ、バニラエッセンス、塩、ラム酒を加え、よく混ぜる。
4: 卵は全卵のまま小さなボールに入れ、よく溶きほぐし(3)へ、4・5回に分けて入れ、さらによく攪拌する。
5: 薄力粉とベーキングパウダーを2回ふるっておく。ここへサルタナレーズン、皮付きアーモンド、レモンピールをよく混ぜ合わせ、(4)に加え、ゴムヘラまたは木ヘラでザックリと混ぜ合わせる。
6: (5)を準備しておいたセルクルに流し入れ、上面を平にし、あらかじめ180度に温めておいたオーブンで40〜50分焼く。竹串を刺してなにも付かなければできあがり。
7: 5分ほど経ったらセルクルからはずし、あればケーキクーラーに乗せて冷す。
8: ケーキが完全に冷めたら、乾燥しないようにラップで包んでおく。
 
高山厚子のプロフィール
東京都出身

フェリス女学院大学音学科ピアノ科卒業後、ウイーン・コンセルヴァルトワールに留学。シュタートラー教授にピアノを師事。
ウイーンガストロノーミッシェ・インスティテュートにおいて、ヴォルフガング・カルプヘン氏にウイーン菓子を師事する。
スイス・バーゼルにおいてカール・シルマン氏にマジパン細工を師事する。
その他、デュッセルドルフ、コンディトライ カフェ・マウス
ハーゲン、カンデルン、カフェ・ラコステにおいて研修を積む。
日墺文化協会会員 
日墺文化協会主催「ウイーンのお菓子教室」講師
高山厚子著書「ウイーン菓子12ヵ月」文芸社
 
日墺文化協会(http://austria.gooside.com/)へはこちらから
 

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