高山厚子のウィーン菓子物語

ウィーンの散歩(後編)。
 
●ドナウ川の遊覧
  到着したところ

 ドナウ遊覧を終えて、またシュベーデンプラッツに戻ってくると、シュテファン寺院の鐘の音が聴こえてきました。
 お昼時のせいか、レストランやカフェのテラスも超満員。こんな時は、ウィーンでも1番大きな書店、モラバへ行って、お菓子の本を心ゆくまで見ることにしています。ここウィーンではちょっと高価な本や、部数の少ないものには本全体にビニールのカバーがしてあり、中が見られないようになっていてガッカリすることがあります。でも、店主にお願いすればカバーを取り外してもらえますからご心配なく。モラバのある通り.......ヴォールツァイレといいますが、他にもちょっとした製菓用具店や製菓材料店がありますので、お菓子好きの方には、おすすめの通りです。

●ハイナー

 
●グーラッシュスッペ
さて、私の空腹を満たすために、いったんシュテファン広場に戻って、ケルントナー通りをオペラ座方向に歩きます。ここには私の大好きなケーキ店ハイナーがあります。この店のグーラッシュスッペ(ハンガリー発祥のパプリカシチュー)でお昼にします)他にも本日のスープ、野菜のラザニア、サラダ、サンドウィッチなどなど、レストラン顔負けのメニューが揃っています。食事の後にケーキを食べたい方には、こんなラン チもいいものです。
●シューベルトの生家
共同アパート

  それでは、おなかも落ち着いたところでまたオペラ座に戻り、トラムに乗って、今度はシューベルトの生家をご案内します。ヌースドルファーシュトラーセ54番地。ここにシューベルトの生家があります。
  生粋のウィーンっ子だった彼は、少年時代にはウィーン少年合唱団で歌っていた影響もあるせいか、歌曲は600曲以上と言われています。叙情豊かで、自然な音楽の喜びにあふれたかれの作品をここで試聴することができます。 先を急がれないようでしたら音楽を聴きながら彼の空間にひたるのも、また、おつなものです。

 シューベルトの生家を後にして、ヴェーリンガーシュトラーセの方に歩いてくると、交差点の所に、ウィーンっ子が大好きなケーキ店「アイーダ」があります。この店はウィーンの至る所に支店があります。わざわざここまで来ることはありませんが、私のお気に入りのコースです。ちょっと、お付き合い下さい。
「アイーダ」は実に庶民的な店です。あまり愛想の良くないウェイトレスになんの変哲もない店内。私の恩師も普段は使わないような「ウィーン訛り」を、この店に来ると話すところをみると、ウィーンっ子にとって、まったく気兼ねがいらない、身も心も普段着のままでくつろげる店なのかもしれません。一度、友人に「どこのクレーメシュニッテン(ミルフィーユ)がおいしいの?」ときいたところ。「そりゃあ、アイーダよ。あそこのはね、ブレッタータイク(折パイ生地)の焼き具合がじつにいい感じでね。」....と、ケーキのことになると、口角泡をとばすというのでしょうか。放っておけば、延々と続く彼らのケーキ讃歌.....今回ご紹介する「リンツァートルテ」もいままではオーストリアの都市名「リンツ」からきたものと言われていましたが、2〜3年前にリンツ氏が考案したケーキだということが分かった時は新聞や雑誌をしばらくの間賑わせていました 。
●フォルクスオパー

 こんなことが真しやかに話題になるのもウィーンならではです。それではアイーダを後に、ヴェーリンガーシュトラーセを少し先へ行くと、右手に[フォルクスオパー」(民衆オペラ劇場)が見えてきます。ウィーンへいらしたら、ここで一度オペレッタをご覧下さい。人生の喜怒哀楽を凝縮したオペレッタに、浮き世の煩わしさも一時忘れてしまいそうです。[ヴィ−ン ブライプト インマー ヴィ−ン」
 (ウィーンはいつもウィーン)。ここは、私にとってこの言葉がぴったりの桃源郷です。
ビス バルト(では、また)
 
リンツァートルテ 
 
材料(直径18cmのセルクル1台分)

A) リンツァータイク
薄力粉          150g
無塩バター(細かく切っておく) 150g
全卵   1/2個分
皮付きアーモンドプードル 150g
粉砂糖         110g
卵黄            1/2個分
シナモン         小さじ 1/3
レモンの皮        少々
グローブ          少々
バニラシュガーまたは、バニラエッセンス    少々

B)
赤すぐりのジャム または ラズベリージャム     60g
薄切りアーモンド      適宜
粉砂糖       適宜

C)  
照り用全卵          1/2個分
飾り用粉砂糖    適宜

 
作り方
1: ボールに薄力粉、粉砂糖、グローブ、シナモン、を一緒にふるい入れる。
2: (1)に皮付きアーモンドプードル、バター、卵黄、全卵、レモンの皮、バニラエッセンスを入れ、スケッパーを使いながら全体を手早く混ぜ合わせる。この生地を薄めにのばしてラップをして、冷蔵庫で2時間ほど休ませる。
4: 天板にベーキングシートを敷き、そこへセルクルをのせておく。
5: (2)の生地の2/3量をめん棒で直径18cmにのばしたものを、セルクルの底にしき、この上にジャムを生地の縁から1cm内側までスパテラ等でのばす。
6: 残りの生地を細い棒状にし、格子状におき、さらに残りの生地を使って周囲を1周させる。
7: (5)の周囲の部分全体にフォークの背を使って、筋をつける。
8: 生地の部分だけに全卵を溶きほぐしたものをハケでぬり、中央に薄切りアーモンドをふりかけて、160度のオーブンで約45分ほど焼く。
9: 焼き上がって熱がとれたら、ケーキをセルクルからはずす。
10: (8)が完全に冷めたら縁の部分だけ、軽く粉砂糖をふる。
高山厚子のプロフィール
東京都出身

フェリス女学院大学音学科ピアノ科卒業後、ウイーン・コンセルヴァルトワールに留学。シュタートラー教授にピアノを師事。
ウイーンガストロノーミッシェ・インスティテュートにおいて、ヴォルフガング・カルプヘン氏にウイーン菓子を師事する。
スイス・バーゼルにおいてカール・シルマン氏にマジパン細工を師事する。
その他、デュッセルドルフ、コンディトライ カフェ・マウス
ハーゲン、カンデルン、カフェ・ラコステにおいて研修を積む。
日墺文化協会会員 
日墺文化協会主催「ウイーンのお菓子教室」講師
高山厚子著書「ウイーン菓子12ヵ月」文芸社
 
日墺文化協会(http://austria.gooside.com/)へはこちらから
 
 

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