高山厚子のウィーン菓子物語

ウィーンの郊外にて。
 
 ウィーン13区アウホフシュトラーセにある、カフェ・ドムマイヤー。
オーストリアの女帝、マリア・テレジアのお気に入りだった夏の離宮シェーン・ブルンの近くにあります。とは言っても、リング(旧市街地区でウィーンの中心部)の外側にあるのでどことなくローカル調で、道行く人達もノンビリしています。

それでも皆さんを、ここへお連れした訳があります。このカフェ、実は1844年10月5日に、当時まだ18歳だった、作曲家ヨハン・シュトラウス2世がデビューして、大成功をおさめた所です。
ヨハン・シュトラウス2世というと、元旦に行われるニューイヤーコンサートのアンコール曲「美しき青きドナウ」を作曲したウィーンのワルツ王です。1866年、プロシアとの戦争に大敗し、意気消沈したオーストリア国民を勇気づけるために男性4部合唱曲付きワルツを依頼されたシュトラウスは、4区のプラター通り54番地の2階の彼の家でこのワルツを作曲しました。その時まで、声楽曲を書いたことのないシュトラウスでしたが、この曲は、ウィーン男声合唱団に献呈され、今では「オーストリアの第2の国歌」とまで言われています。

さて、話をカフェ・ドムマイヤーにもどしましょう。このカフェの内部はレトロ調ですが、日当たりもよく大変居心地の良いカフェです。私のお隣にいるワンちゃんも、実に気分良さそうにしているでしょう?最近はウィーンのカフェでも「ペットお断り」とかかれたカフェやコンディトライが増えてきました。犬好きの私としては悲しい限りですが、このカフェではお行儀さえ良ければ歓迎されます。そして週末には、シュトラウス・コンサートがで開かれますので、お立ち寄りになってみてはいかがでしょうか。コンサートホールで聴くものとはまたひと味違ったウィーンのカフェ・コンサートの魅力にふれる、いい機会です。

さあ、今日はせっかくここまで来ましたので、このカフェ近くにある、シェーンブルン宮殿内にある、動物園へ行ってみましょう。ここはマリア・テレジアの夫フランツ・シュテファン公による世界で初めて造られた動物園です。
このシュテファン公、政治や戦争は妻のマリア・テレジアに任せて、自分はもっぱら動物や、植物に関心を持っていた人物と言われています。まさに「汝戦争す、我結婚す」を地でいった人で、なんと16人の子宝に恵まれました。当然のことながら領土を広げるため、国家を守るため子供達の多くは政略結婚の末、波瀾万丈な一生を送りました。その中でもとりわけ有名な人物が、末娘(第6皇女)のマリア・アントニア・・・。そう、あのルイ16世と結婚した後のマリー・アントワネットです。マリア・アントニアは生まれた時からすでにフランス王妃になることが決められていました。と、言うのもマリア・テレジアの天敵であるプロイセンとの戦いに勝つためには、300年来の宿敵フランスと同盟を結ぶのが得策と考えたわけです。そして、その同盟の信頼の証としてマリア・アントニアが差し出されたのです。
時代が時代とは言え、何か胸にこみあげてくるものがあります。

 まあ、気難しいお話はこの辺にして、私の足は園内にあるカフェの前で止まってしまいました。外にでているメニューを見てみますと・・・・ウーン、焼きたてのアプフェルシュトゥルーデル(リンゴの焼き菓子)生クリーム添えが本日のお勧めのようです。こちらでは「リンゴの季節になるとお医者さまがいらなくなって病気知らず」という言い伝えがあるくらい、健康に良いと言われています。


カフェドムマイヤー

かつてのヨハンシュトラウスの住居

160年の歴史を持つ由緒ある
ウィー男性合唱団

カフェドムマイヤーの店内

店内のワンちゃん

動物園に行く人々

動物園内にあるカフェ

シェーン・ブルン宮殿の庭園にある大温室
そこのあなた。くしゃみがでていますね。お風邪ですか?こちらではくしゃみをすると、必ず「お大事に」ということばをかけ合うんですよ。
おやおや、またまたくしゃみですか?どうぞお大事に。えっ、試しにりんごのケーキを食べてみたいですって?
それでは、お茶の時間にしましょうか。
 
アプフェルシュトゥルーデル 
オーストリアのアップルパイです。シュトゥルーデルタイクというパイ生地を作り、紙のように薄く薄くのばします。リンゴのおいしい季節に、ぜひ一度お作り下さい。
 
材料(約5人分)

A) シュトゥルーデルタイク(パイ生地)
薄力粉            125g
サラダオイル         大さじ1
塩              少々
ぬるま湯           60cc強

B) フィリング
リンゴ(紅玉など酸味のあるもの)  750g
パン粉(ミキサー等で細かくする)  50g
バター               25g
くるみの粉末            25g
グラニュー糖            50g
シナモンパウダー          小匙1/2杯
溶かしバター(塗り用)       適宜
粉砂糖とバニラシュガーをあわせたもの(飾り用)  適宜
レーズン              10g

作り方
A) シュトゥルーデルタイクをつくる
1: 薄力粉を2度ふるい、少し大きめのボールに入れ、A)の残りの材料をすべていれて混ぜ合わせる。
2: a)の生地がスッと手から離れるような滑らかな状態になったら、これを丸める。
4: b)の生地を粉をふったボールに入れて、表面には薄くサラダオイルをぬって30分ほど休ませる。
B) フィリングをつくる
1: バター25gをフライパンで溶かし、パン粉を焦がさないように炒めて冷ます。
2: りんごは薄切りにする。
) 仕上げをする
1: オーブンを200度にあたためておく。
2: A)の休ませておいた生地を、粉をふった布巾の上で面棒で厚さ5mm位にのばしたら、生地を両手で持ち上げながら、のばす。(この時爪が当たらないように、手を丸めながら伸ばす。)
3: 2)の生地を四方の縁を順々に持ち替えながら、薄く伸ばす。
4: (3)が約70×35cmの大きさになったらその表面全体に溶かしバターをぬり、生地の2/3にパン粉をふり、その上に薄切りにしたリンゴ、グラニュー糖、シナモン、粉末のくるみ、レーズンを全体に散らす。
5: 4)の布巾を高く持ち上げて、生地を巻き上げる。
6: 5)を油を薄くぬった天板に合わせ目を下にしてのせる。
7: 6)の表面に、溶かしバターをぬり、200度で25分ほど焼くが、途中12〜3分ほどしたら、もう一度、表面に溶かしバターをぬる。
8: 焼き上がったら、厚いうちにきりわけて食べる。
 
● ウィーンリンク(ドイツ語のページです)
カフェ・ドムマイヤー(http://www.Dommayer.at/)
男声合唱団(http://www.wienermaennergesang-verein.at/)
 
 
高山厚子のプロフィール
東京都出身

フェリス女学院大学音学科ピアノ科卒業後、ウイーン・コンセルヴァルトワールに留学。シュタートラー教授にピアノを師事。
ウイーンガストロノーミッシェ・インスティテュートにおいて、ヴォルフガング・カルプヘン氏にウイーン菓子を師事する。
スイス・バーゼルにおいてカール・シルマン氏にマジパン細工を師事する。
その他、デュッセルドルフ、コンディトライ カフェ・マウス
ハーゲン、カンデルン、カフェ・ラコステにおいて研修を積む。
日墺文化協会会員 
日墺文化協会主催「ウイーンのお菓子教室」講師
高山厚子著書「ウイーン菓子12ヵ月」文芸社
 
日墺文化協会(http://austria.gooside.com/)へはこちらから
 
 

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