〜姫竹の子取りツアー編 〜
おもしろクラブ「Field-Day」主催
苅野 玲子

これからびっしりと分け入る隙のない背丈ほどのチシマザサのササヤブへ
左側のささがチシマザサ(奥はこんなもんじゃない)

 
ここは福島の山の中。 6月初旬である。 一気に来た春と初夏が同居している。
今年の3月、4月は雪がおおかった。 そのため春の芽吹きもいつもの年よりおそいのである。

びっしりと分け入る隙のない背丈ほどのササヤブをじゅうたんに、その間から、しでこぶしが白い花をさかせ、ぶなやかえでがまぶしいほどの緑をそえる。 ざあーという音と共に、沢からは雪解けの水飛沫が上がる。

その水飛沫のむこうには苔むした石がさながら日本庭園のようにおかれ、その脇からはショウジョウバカマのウス紅色の花が顔を出す。ああ、これだ。これじゃなくっちゃ。 心いっぱいに充足感で満たされる。

ここのまわりにスキー場ができる前はきっとどこもかしこもこう言った風景がみられただろう。いまとなっては無残に刈り取られた山肌を芝が覆い尽くすのみである。
しかし、残った自然の恵みをもとめてひとびとはやってくる。 この季節、 チシマザサ、通称根曲がり竹のシーズンである。

東北地方の人達が呼ぶ竹の子とは、こちらでは根曲がり竹のことである。細くて小さい竹の子を皆さんも見たことがあるであろう。 それが、チシマザサの芽、竹の子である。 これは普通の竹の子よりあくが少なく、ゆでたり、焼いたりして、みそやマヨネーズをつけてたべてもよいし、竹の子ご飯、味噌汁の具にしてもよい。なかでもてんぷらは絶品である。 この竹の子を採るには、びっしりと隙間なく生えた、背丈ほどもあるササ藪の中に意を決してもぐりこまなくてはならず、他に通れる動物と言ったらクマぐらいのものであろう。 確かにここはクマの食事場所なんである。

クマの天敵と言ったら人間であるが、いくら人間でもここのササ藪を食い尽くすにいたらないと信じたい。せっかくかみさまがくれた美しい庭とその恵み、大事にしたい。
 
かみさまの恵み「チシマザサの竹の子」
取れたてをてんぷらに
 


back
[HOME]