〜北アルプス双六岳の花の旅 編〜

おもしろクラブ「Field-Day]代表
苅野 玲子


鏡平の池には槍、穂高連峰が映し出される

 
花を求めて双六岳へ向かった。新穂高温泉から車の進入禁止のゆるやかなる林道を登ること2時間。沢沿いに登るこの道にはシモツケソウやクガイソウが咲き、これからの花との出会いに期待を持たせる。まずわさび平小屋についた。小屋の周辺はブナ林で、木の周囲5mもあろうかと思われる大木がブナに限らずそこいら中にある。原始の森に近い。 が、沢は春に大規模な雪崩があり、工事に相当数の機械が導入されている。 沢のあちこちでは堰がつくられ、せっかくの景観がだいなしである。山の上の方に行っても、その工事の音が聞こえてくる。しょうがないのかもしれないが、あーあと言う感じである。 わさび平小屋から枯れた沢のガレ場を登り、本格的に山に入っていく。
 

左からシラネニンジン、ミヤマリンドウ、ヨツバシオガマ

ミヤマキリンソウを見ながら鏡平小屋にむけて高度を上げていく。これからは高度をあげるごとに花の種類が変わっていくだろう。まず出迎えたのがコバイケイソウ、ニッコウキスゲ、シラネニンジン達だ。小屋に近づくとハクサンフウロ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイと続く。鏡平の池には槍、穂高連峰が映し出されるので有名だ。ここから次の双六小屋、三俣蓮華方面は美しいお花畑が点在するので楽しみだ。

 

ミヤマリンドウの青、ハクサンフウロのピンク、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイの黄色、シラネニンジン、ハクサンイチゲ、コバイケイソウの白、クルマユリのオレンジ、そしてヤチトリカブトの紫、と目にも鮮やかだ。
雪渓の周りには、コイワカガミ、ヨツバシオガマ、ハクサンチドリ、チングルマが加わり、種類も多い。弓折岳周辺と双六小屋周辺はこれらに黒百合が参加し、さながら高山植物の植物園である。


ハクサンフウロ

ミヤマキンポウゲ

シナノキンバイ

シラネニンジン

ハクサンイチゲ


クルマユリ

コイワカガミ

ヨツバシオガマ


雷鳥の親子を発見

こんなに素適な庭は見たことがない。槍や穂高の景色も素晴らしいが、眼下の地面の上もそれにおとらず素晴らしい。こうして苦労して2,500メートル前後まで登らないと天上のお花畑にはいけないのである。おまけに雷鳥の親子にも出会ってしまった。大分大きくなったヒナ鳥達は皆、母親のやさしい掛け声のなか、思い思いに花をついばんでいた。そう、ここにも人間の営みとは別の世界がある。

 

クロユリ

確かに人間はここにはほんのちょっとおじゃまさせてもらっているだけ。私達はこの自然の前では息を潜めてたたずむしかないのである。自然の怒りをかわないようにそっと、ひっそりと通りすぎるのみである。ここで万物の長は自分の無力さを知り、分をわきまえるのである。 すべての人間達がそういった時を過ごしてみるべきだと、皆さんそう思いませんか。



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