〜いとおしの木の芽たち〜
おもしろクラブ「Field-Day」代表
苅野 玲子

桂とこぶしの花
ケヤキとサクラ

が来た。桜の花ははや満開を過ぎちりはじめ、こぶしの花は茶色くなりかけている。 もみじの赤い木の芽、ケヤキのちぢれた新芽、あらゆる広葉樹の枝先の色が変り始めたと思ったら緑色のかわいい芽が顔を出し、あっというまに新緑の季節を迎えることになる。

かし、なんといってもこの世で一番愛しい木の芽は桂の木の芽だろう。もちろん私の主観だが。株立ちし、たくさんのばした枝先のすべてに小さな明るい緑色の炎を燃やす。 小さな小さなその芽が大きな木全体を絶妙の空間をともなっておおうのである。 その様はやさしく、うつくしく、いとおしい。私の最も好きな木だ。桂の木自体、一年を通じて概して美しいが、この春の新芽、それもでたばっかりの小さな新芽の時が最高だ。 なぜにこんなに心惹かれるのか、わからない。

ちろんすべての木々の芽が好きだ。 新しい力を感じさせる。花よりも。そのなかでもとりわけ桂の木の新芽に愛着を覚えるのはきっとその新芽の間の取り方だろう。その同じ新芽でも小さすぎても育ちすぎてもいけない。

桂の木の芽 
もう少し小さい時のほうが素敵。
桂の木の芽

る一瞬の時に恋をするようなときめきを感じるのである。その一瞬の時の、ほんの少し顔を出した芽一つ一つが空間をもって木をおおう、そのバランスの良さに惹かれるのであろう。私のめざすものがその一瞬に凝縮しているのだ。そしてそれはまた変りゆくものだからこそなおさらいとおしい。 でもまたその一瞬に来年会える。そう思って木の芽の成長を喜ぶのである。

木の芽