〜さわやか山のきのこ達 編〜

おもしろクラブ「Field-Day]代表
苅野 玲子

朽ち果てた切り株にびっしりとはえた「くりたけ」

 
10月にはいると山の恵みは最高潮に達する。さるなし、山葡萄、やまぼうし、あけび、と枚挙にいとまがない。山にいくと上をみたり、下をみたり忙しいことこのうえない。林道沿いには秋を彩る花々、ノコンギク、リュウノウギク、ヤマジノギク、アキノキリンソウ、リンドウが咲き、やまうるしの木はいち早く紅葉し、落ちた栗の実をイノシシがあさる。もちろん人間もだが。今年は栗が豊作で、どの木も鈴なりだった。その木の下はイノシシが荒らした後がたくさんみられる。
 

くりたけ

実ものが一段落するときのこである。

目的はくりたけ。うちの山小屋の近くに私達がさわやか山と呼んでいる山がある。
そこはちょっと奥まったところにあり、春はタラの芽の宝庫だが、タラの芽のためならばどんな山奥にも進出する輩にたいていは全部取られてしまう。

でも秋はちがう。だれも訪れる人もなく、ただあるがままに私達のみを待ちうけているのである。わー、ほら、みてごらん、こんなすばらしいくりたけ。見たことある? まるできのこ図鑑だ。朽ち果てた切り株にびっしりとはえている。あそこにも。ここにも。
心が満足感で満たされる瞬間である。


ムラサキシメジ
チャナメツムタケ
ウラベニホテイシメジ
ナラタケ

なぜだろう。
ただの狩猟採集本能が満喫されるからという理由だけではないだろう。見つけただけでうれしいのだもの。それは本物の自然の力を身近に感じられるからではないか。そのなかに自分がいる、だれも触れていない自然の一部を自分だけのものにできる。

そしてさらにそれをおいしく食べることができる。見るだけでもうれしいのに、手で触って、なおかつ食べておいしい。こんな喜びを享受できるなんて。そしてそれを仲間達と共有できるなんて。楽しみや喜びはみんなで味あわなくっちゃ。仲間がいる分だけ喜びが倍増する。

そのためにもさわやか山、なんとかいつまでも元気でいてほしい。開発の手はすぐそこまできている。私達の宝物、どうかこわさないで、とただ祈るばかりである。

山の幸

ウラベニホテイシメジ



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