春の多摩湖探訪
-早春の風に揺れる、森の妖精たち-
写真・文 森の人 泉 健司

コナラのドングリが芽を出し始めていた。
新緑の頃までには、
かわいい葉が出ていることだろう。

撮影:RDC-7S
 

今年は「水道水源林100周年」

現在、狭山湖(山口貯水池)はダムの補強工事中です。
大正14年(1925年)竣工以来の大工事。地震に耐える構造に作り替えているのだそうです。こちらが一段落すると、つぎは多摩湖(村山貯水池)の番です。工事に先立って、数年前から一帯に広がる水源涵養林の生物層の調査が続けられています。

僕は植物層調査チームの一員として初年度から参加しているのですが、今回はひょんなことからRICOHの新しいデジカメを借りることが出来、今まで使っていた光学カメラではなかなか撮りにくかった画像も撮影できました。

いろいろな発見もあったので、豊かな自然をはぐくむ里山の典型でオオタカの繁殖地でもあるこの一帯の様子を、ちょっとだけ皆さんにレポートしてみようと思います。

ただし今回レポートで入った場所は、ほとんどのポイントがダム湖周辺のフェンスで囲まれた水源涵養林の中なので、一般の方は入れません。ご了承くださいね。

 
水を落とした湖底を工事のダンプが我が物顔に走ります。湖面に瀟洒な姿を映していたはずの給水塔も、これでは形無しですね。でも、まあ、もうしばらくの辛抱です。風が吹くと砂埃がすごくって、たまらない。水だけじゃなくて埃にも強いデジカメを持ってると、こんな現場でも安心だよね。

撮影:RDC-200G


右側が堤体の補強工事現場。耐震基準の見直しによって、堤を補強する工事が行われています。中央から左にはせき止められた水が見えますね。この時期は本当なら、大陸からわたってきたガン・カモ類やカイツブリたちの様な水鳥で賑わいます。でも今は、ほとんどの水鳥は多摩湖(村山貯水池)でくつろいでいます。

撮影:RDC-200G

 
宮崎駿監督の「となりのトトロ」のモデルとなったことで知られる狭山丘陵は、東京都と埼玉県に接して都心から約40kmの地点にあり、丘陵の中心には都民の水瓶である狭山湖(山口貯水池)と多摩湖(村山貯水池)が鎮座し、狭山県立自然公園の中心地となっています。でも、西武球場がある所って言った方が、わかりの良い方も多いかも知れませんね。
 
ウグイスカグラは、早春の雑木林を彩る小さな花。必ず2つずつ咲いて風に揺れている様は愛らしい。赤く熟れた実は小鳥たちの好物だ。

撮影:RDC-i700
 

付近にはユネスコ村、西武園、山口観音などがあり、多摩湖の外周には整備されたサイクリングコースもあります。周囲に散在する自然公園を巡るハイキングも、また格別。もちろんサクラの時期には、花見客で賑わうことは言うまでもありません。過去には、このお花見スポットを巡って様々な鉄道が敷かれ、駅名さえも競い合われたという経緯さえあるくらいです。

 
 

山口貯水池(狭山湖)へは、多摩川の羽村から地下水道で水が送られてきます。 大正時代に狭山丘陵の谷間に堰をして建設された人造湖です。村山貯水池(多摩湖)は途中を堤防で区切られており、上湖と下湖に分けられ、山口貯水池とは地下水道でつながっています。大正5年着工、昭和2年完成。湖畔には、遊園地や野球場などの施設もあり、長さ591mの堰堤の下の狭山公園とともに都民の憩いの場所として親しまれ、桜の季節は大勢の花見客でにぎわいます。

プロフィール

いずみ けんじ
泉   健司

http://www.biotope-garden.com/
ビオトープ・ガーデン提唱者、植物生態コンサルタント、 自然造形作家 1954年愛知県豊橋市に生まれる。
東京農業大学農学科副手を勤めた後、環境アセスメント をはじめとした各種植生調査、フロラ調査の仕事に従事。 ビオトープ・ガーデンを提唱し、TVを初め様々なメディ アで紹介されている。またフラワーアレンジメントや自 然造形物を素材としたクラフト、コンピューターグラフ ィクス、環境音楽の制作など、多岐にわたる活動を行っ ている。
教育活動にも力 を入れており、東京バイオテクノロジ ー専門学校や東京医薬専門学校の非常勤講師も勤める。
農学修士。マミフラワーデザインスクール登録講師。
 

番外編
春の淡雪 もどうそ。

次回:4月25日は
■西武球場駅から山口観音をへて村山貯水池へ
お楽しみに!


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