都市の風景
都市の風景:東京の建物・照明・ショーウィンド・乗り物などのデザイン考察
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都市の風景:代々木公園

文・写真 石原 鐵雄

僕は、緑が好きである。

・・・だから、公園によく出かける。
住まいから徒歩で20分。自転車で5分のところに代々木公園がある。公園には、ケヤキ、クスノキ、桜、百日紅などが植えられていて、ところどころに、花壇や水辺がある。5月の連休の頃は、バラが満開だった。公園には、ひとりで行くことが多い。文庫本を持っていき、木陰のベンチで読書をするのは、気持ちがいい。ハワイアン・ソングを口ずさみながら、ウクレレを弾くときもある。

代々木公園は、噴水のあるあたりが、一等地である。噴水はさまざまに変化し、時折高さ20メートルほど、水を吹き上げるときがある。その噴水を囲むようにベンチが置かれている。平日、ベンチに座っているのは男性の老人が半数を占める。なぜか女性が少ない。噴水の一等地に行くと、顔なじみができる。

近頃の老人は、なかなか元気でコンポを持参して、ラップの練習をしている人がいる。彼は、年金暮しだろうか、毎日のように噴水前の一等地に来る。白が好きらしく、全身白ずくめのファッションをしている。白のフィールドキャップ、白のTシャツ、白のショートパンツ、白のスニーカー。 毎日代々木公園に来るのだから、もちろん着替えの白ファッションを数枚もっていると推測される。なぜか、ステッキだけは黒である。ラップを踊るとき、白のファッションに黒のステッキが映える。 彼は、噴水広場の木製デッキが敷かれている右端のベンチが指定席である。

僕が午前11時頃噴水広場に行くと、すでに彼はステッキを廻しながらダンスを踊っている。彼は、年齢も60才を超えていると思われるが、トースト色に日焼けしていてエネルギッシュである。ラップは激しい踊りなので、ずっと踊り続けてはいない。15分ほど踊ると、30分ほど休憩する。


花壇

代々木公園・噴水

いつだったか、20代前半の若者が彼を訪ねてきて、一緒にラップを踊った。若者は、ラップのステップや手脚の動きは、まあまあできるが、ステッキがまったく使えない。すると、白装束の彼が、ステッキの使い方を熱心に教えていた。若者は、30分ほどステッキの使い方をコーチしてもらい、彼と握手して別れていった。彼は、ラップ界の神様かもしれない。

代々木公園は、老人だけではない。外国人をよく見かける。先日も50代くらいのご夫婦が手をつないで歩いてきて、僕の隣のベンチに座った。奥さまは、ご主人を膝枕にうたた寝をはじめた。ご主人は、その間30分ほど、じ〜っと噴水を見ていた。よく30分もじっとしていられるものだ。

あわただしい東京のなかで、ここだけはゆったりした時間が流れている。

だが、休日になると、家族連れや若者で賑わう。公園の原宿側の広場では、中年のロッカー数人が、1950年代のロックンロールを踊っている。男は、ヘチマ頭に全身黒のファッション。女は、ヒラヒラした落下傘のようなスカートでジルバを踊る。広場の前の道路には、ピンク色のキャデラック・コンバーチブルが止まっている。プレスリーも、この光景を天国からみつけたら、きっと拍手を送るに違いない。


バラ園

日曜日の公園

代々木公園は、国立代々木競技場側にも公園がある。こちらはサッカー、バスケット、陸上競技などのスポーツ公園で、入口の広場は、さまざまなイベント会場に使われている。

今日は、フリーマーケットが開催されていて、大勢の人で賑わっていた。フリーマーケットで、雑貨や衣類を売っている女性には、なぜか可愛らしい人が多い。それにモノを無駄にしないので、良妻賢母になるだろう。

僕は、販売ブースの女性があまりにも可愛らしいので、Tシャツを1枚買ってしまった。午前11時に家を出て、気がつけば午後2時。あっと言う間に3時間が過ぎた。代々木公園は、暇つぶしには最高の場所である。


フリーマーケットの明治ガラス

フリーマーケット

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