都市の風景
都市の風景:東京の建物・照明・ショーウィンド・乗り物などのデザイン考察
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都市の風景:うわあ!ヨーロッパみたい。

文・写真 石原 鐵雄

その日。東京は快晴だった。僕は自転車で、代官山に散歩に出かけた。
ヒルサイド・テラスの前に自転車を止め、チェーンのカギを掛けていた。
そのとき、女子大生風の二人が、僕の前を通りながら言った。
「うわあステキ.....代官山ってヨーロッパみたい」と。
彼女たちは、田舎から上京し、今年大学に入学した女子大生かも知れない。確かに、彼女たちに「ヨーロッパみたい」と言わせた代官山は、そんな趣がある。

道路の両側に植えられた、旧山手通りの街路樹。その街路樹越しに見えるヒルサイド・テラスの白い建物。
建物は3階から5階建てで、高さが押さえられているから、圧迫感がない。空が広く感じる。
建物の間や周辺には緑が配置されていて、歩いていても気持ちがいい。この町並みが、魅力的なのは、ところどこにある、ほっとするような入り隅空間である。

通常の町並みは、建物と道路が一直線に並んでいるので、立ち止まったり休んだりする場所がない。
ヒルサイド・テラスは、表参道の「スパイラル」の建築家、槇文彦氏の事務所によるが、さすがというほかはない。
これほど、自然と建物が共存した街並は、他には見当たらない。ヒルサイド・テラスは、街並の美学といえるほど、完成度が高い。


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