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椅子
文・写真  野呂珍平

僕が椅子に興味をもったのは、建築家宮脇檀さんの影響である。
30代の後半、僕は建築関係の企業PR紙の編集長をしていた。宮脇さんとは、「都市論」をテーマに対談した。対談を終え、コーヒーを飲みながらのよもや話しが楽しかった。

宮脇さんは、若い頃アメリカン・トラッドのVANを愛用していた。VAN好きの建築家は、やがてオーナーの石津謙介氏と知り合い、彼の自宅を設計している。僕もVANが好きで、大学時代はみゆき族だったから、話はもりあがった。ファッションのあと、宮脇さんがコレクションしている椅子の話になった。


イームズ・エッフェル

イームズ・シェルチェアー


宮脇さんは、椅子にはこだわりがあって。気になる椅子を買っていたら、いつの間にか100脚を超え、収納が大変と嘆いていた。建築家に椅子好きは多く。ウイーンのオットー・ワグナーも宮脇さんと同じように建物の設計を依頼されると、必ず椅子も自分でデザインしていたそうである。宮脇さんの椅子に関する話を聞き、僕も椅子は部屋のインテリアの重要なアイテムだと納得した。

対談の帰り道。街を歩いていると、椅子が気になってしょうがない、椅子にもいろいろあって、どんなデザインが自分の部屋に合うのかわからない。宮脇さんが愛用しているプライウッドのラウンジ・チェアーは、オットマンと合わせると50万円以上する。

そこで宮脇さんがアドバイスしてくれたのが、ミッドセンチュリーの椅子。「たとえばイームズがデザインした椅子は、大量生産を目的に作られていたので、値段も手ごろで集めやすいですよ」ということだった。なるほどイームズのサイド・シェル・チェアーなら、2万円で購入できる。それにプラスチック成形なので、軽く積み重ねすることもできる。カラーも赤、紺、イエローなど、カラフルで可愛らしい。僕は、さっそくダイニング・テーブルの椅子から揃えることにした。


イタリア製・ダイニングチェア

スパゲティイ・チェア


はじめに買ったのが、色が赤のイームズ・エッフェル。スチールの脚の部分がエッフェル塔に似ているので、名付けられたとか・・・。

これを手始めに、毎年1脚づつ購入。いまでは、ミッドセンチュリー的な椅子が15脚ほど集まった。 いちばんのお気に入りは、ハーマンミラーの「アルミナム」。 ひじ掛けや脚の部分がアルミダイキャストでできているシンプルなデザインがいい。

残念ながら僕の椅子の師匠、宮脇檀さんは、すでにお亡くなりになったが。僕は、これからも気に入った椅子に出会ったら、師の意を継いで無理せず少しずつ集めていこうと思っている。


ハーマンミラー・アルミナム

パリの中学校の椅子

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