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両手鍋
文・写真  野呂珍平

キッチンの道具を揃えるなら、北欧ものがいい。
素朴で温かく、機能的でユニバーサルデザインのように、扱いやすいものが多い。
普通の鍋は、何年か使うとみすぼらしくなるが、ダンスクの鍋は陳腐にならない。例えば、鍋の角の部分のホーローが欠けても、その欠けたところさえ愛おしく感じる。デザインは、イタリア製品のようにスタイリッシュではないが、機能美に溢れている。さらに機械による大量生産ではなく、職人の手仕事によって作られるから、なんとなく温もりのようなものがある。

写真のダンスクは、コベンスタイルと呼ばれている。デザイナーのジェンス・クイスガー氏が1956年に発表したものだが、洗練された機能美は、いまのキッチンにもぴったりマッチする。鍋蓋の取っ手が十字にクロスしているのは、持ちやすいだけでなく、蓋が鍋敷きにも使える設計になっている。 だからシチューを作ったときは、鍋をそのままキッチンテーブルに置ける。


ホーロー鍋

ホーロー鍋


鍋をキッチンテーブルに置いて絵になるのは、ダンスクだけではない。

蓮の葉をモチーフにしたキャサリンフォルムの「ロータス」シリーズの鍋も同様である。リーフ・デザインのロータスの鍋は、テーブルに置くと、美しい食器のようである。このロータス・シリーズも1950年代に登場した。

プロダクトデザイナーは、ノルウエーのグレタブリッツ・キッテルセンである。手がけたホーロー・ウエアは、鍋だけでなくケトルやボールまで、トータルにデザインされている。ただし彼女がデザインしたのは、フォルムだけでリーフのデザインは、別の人が制作したものである。

ダンスクとキャサリンフォルムに共通しているのは、ホーロー製ということである。 最近は、フランスのル・クルーゼ鍋が人気だが、こちらは鋳物にホーロー加工しているので、鍋を持つとき力がないと扱いづらい。それにくらべ、ダンスクやキャサリンフォルムは、鉄板にホーロー処理をしているので、軽々と持てる。

ホーローとは、シリカを主成分としたガラス質の柚薬を高温で焼きつけたもの。これにより、熱が鍋全体に伝わり、温度が下がらず、焦げにくい特性がある。現在でもホーローは、鍋だけでなくさまざまな調理器具をはじめ、システムキッチン、浴槽など幅広い分野に使われている。

さらにホーローは、白だけでなく赤、オレンジ、ブラウンなど、あらゆる色が着色できる。カラフルなホーロー鍋は、使えて飾れる道具として、キッチンを楽しくしてくれる。


ホーロー鍋

ホーロー鍋

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