男の雑貨

映画に出演したハワイアンシャツ。
文・写真 野呂珍平
 
 
アロハシャツは、なぜか人を楽しくさせる。
シャツの袖に腕を通すときから、気持ちがウキウキしてくる。
夏は、アロハシャツにショートパンツ、ビーチサンダルというスタイルが、僕の定番。ウクレレを弾くときだけでなく、家でテレビを観るときも、スーパーに買い物に行くときも、近所にお酒を飲みにいくときも、すべてこのスタイル。
だからときどき妻に小言を言われる。「お出かけするときはTPOをわきまえて、ちゃんとした格好にしてください」と。
「アロハシャツは、ハワイでは正装だぜ。ホテルマンも、銀行員も、みんなアロハシャツを着ているじゃないか」と、僕も反論。すると「ここはホノルルじゃあありません。東京の渋谷です」。
やれやれ、うちのカミさんは意外と常識的で頭が堅い。

●1950年代の復刻版
ハワイの夏より暑いといわれる日本の夏に、スーツを着ているビジネスマンをよく見かけるが、仕事の能率があがるのだろうか。頭が良い社長なら、スーツを着ないように社命をだすだろう。その点、小泉総理は頭が良い。先日テレビを観ていたら「今年の夏から国会議員は、スーツを止めシャツだけにしましょう」と、呼びかけていた。
日本の夏は、連日30度を超え、湿度も70 %を超える。ビジネスマンにアロハシャツを着ろとは言わないが、せめて半そでのシャツで通勤するようにお願いしたい。黒っぽいスーツ姿は、見ているだけでも暑苦しい。
そんなわけで、僕の夏の普段着はアロハシャツかワークシャツ。だが好きだからといって、ヴィンテージ・アロハにこだわったりはしない。絵柄や染めの違うものなど、いろいろと着てみたいから、ほどほどの値段のものを着る。

●今風の一色もの
7年ほど前の話になるが、サンディエゴに旅行したとき、フォートンプラザでおもしろい柄のアロハシャツを見つけた。
そのシャツは正式にはアロハシャツには属さないかもしれない。襟元がオープン(開衿)じゃないし、柄もハワイアンの伝統的な絵柄ではない。シャツの表面いっぱいにカリフォルニアの絵地図が黄色や濃いブルーで描いてある。
地図を囲むようにパームツリーやサーフィンなどのイラストレーションが描かれている。シャツの雰囲気としてはアロハだが、ハワイアンシャツかアロハ風シャツといったあたりが正解だろう。
一緒にサンディエゴに行ったカメラマンの友人も、そのハワイアンシャツを気に入って、試着したが・・・。「男が二人でお揃いのシャツを着たら、おかまじゃないかと、疑われちゃうから俺はやめとくよ」と言って、購入優先権を僕に譲ってくれた。
同じような絵柄も、色違いもなかったので、友人はまったく別な植物柄のアロハシャツを買った。

●映画に出演したハワイアンシャツ
旅行から日本に帰り、1年が経った。ある日、サンディエゴで一緒だった友人から電話があった。「昨日の夜、ビデオ屋で借りた「スピード2」というタイトルの映画を観ていたら、主演の俳優がサンディエゴで買ったハワイアンシャツを着ていたよ」と、教えてくれた。
「えっ、あのカリフォルニア柄ハワイアンシャツかい」。と、僕。
「間違いない」。自信をもって返事をする彼の知らせに、僕はなぜか興奮した。
さっそく近所のビデオ屋に出かけ、映画「スピード2」を借りた。
映画の中盤、主演俳優ジェイソン・パトリックが、リゾート地でクルーザーを舞台に、カリフォルニア柄のハワイアンシャツを着て、悪者と戦っていた。
この日以来、僕はカリフォルニア柄のハワイアンシャツを高級なクリーニング店にお願いし、大切に扱うようになった。

●サーファー柄

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