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ホーサンの菜園生活

ホーサンの菜園生活

文章・写真 保高博司
「冬の名残り」

 この地方では冬に備えて、庭の樹木の保護のために雪囲いや雪吊りを行なう。
今年は例年になく暖冬と言われ、雪も少なく、おまけに3月に入って直ぐに夏日となる異常な日々が続いた。
諺に「親の意見と茄子の花は千に一つの仇はない」と言う諺があるが、そんな暖かさが異常とは知りながらも、人は春の訪れを待ち望むものだ。気の早い人たちは迷いもせず、雪囲いや雪吊りを取り外し、おまけに園芸店に走り込んで、色鮮やかな花苗をどっさり買い込んだりした、冬の間空っぽだったプランターに植えこんでしてしまった家もあった。

 我が家も例にもれず、カミさんが体調不良の僕に代って、月初めから少しずつ外し始めてくれた。例年より早い春の訪れを味わえるようで嬉しかった。
ところが天気予報は突然の寒気の南下でしかも居座ると言う。昔から年寄りが言い伝えるように、やはりこの地の3月は冬、予想外にも月末近くになって雪が来た。しかも春の雪は湿り気が多くて重いのだ。案の定予報も着雪注意報も付け加わった。
鉢植えの花たちは軒並み霜に合い、その雪に埋まってメチャメチャになり、大事にしていた庭木のドウダンなどは雪の重みで小さな枝が折れた。
ご近所でも被害甚大と嘆きの悲鳴、早くに外さねばよかったとか、プランターに花など植えるんじゃなっかたとぼやいていた。

 我が家では二人揃って毎日お内仏に向って朝のお勤めをする。小さな遺影の顔がこの歳になってもまだ親の言うことも判らないのかと小言を言れているような気がした。
我が家のフキ畑にしてるところは、さんざんフキノトウを摘ませて貰って、食べ残しはそのまま成長している。春の雪に埋もれて、また顔を覗かせて、花が実を結んで、綿毛の種となって飛んで行くのももう間もないことだ。


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