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ホーサンの菜園生活

ホーサンの菜園生活

文章・写真 保高博司
「菜の花」

 この地方では通称「とう菜」と呼んでる春菜である。別名「五月菜」とも「五月採り菜」「カブリナ」とも言うらしい。
 この菜は晩夏に種まきして芽が出ても雪に埋もれて越冬し、不思議にも春に大きく育った青菜そのものを食べる、のではないのである。
 確かにこちらでは春の代表的な野菜だが、実際には春になって「その菜の薹(とう)が立ち、それを摘み取り食べる」のである。いまの時期には葉を大きく繁らせていて、見るからに硬くて美味しくなさそうな菜である。

 ところが暫くして桜が咲く4月から5月頃には、中心から新しい芽がどんどん伸びて来る。そしてその先には俗に言う「菜の花」となって成長するのである。これが「五月菜」と言われる所以でもあろう。

 今から徐々に茎が伸び葉を繁らせ沢山の花を付けるが、食べ頃は花が小さな蕾の時にポキッと手折るようにして収穫する。これは茹でて「おひたし」にしたり、また「たまごとじ」などになって、青々と食卓に上る頃はまさに春爛漫を感じる時である。
 この地方では伸びた「薹を摘み取って食する」ところから、「とう菜」と呼ばれているのが、この地方の正解のようである。新芽が伸びて「菜の花」に変身し始める頃、あらためて紹介したいと思っている。

菜の花

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