-都市生活を潤す屋上庭園計画ー
建築家 野口信彦
 

都市の密集した住宅地における緑化環境を考えると、広い庭の確保はますます困難です。そこで建物の屋上をガーデンとして活用することを提案します。 密集した住宅地では、1階よりも2階、さらには屋上のほうが日当りが良く、緑化に適している場合もあります。これから新しく建物を計画するときは、屋上を緑化する前提で建物を計画しておけば、地上とは違った魅力的な屋上庭園が実現できます。

 
****屋上庭園の効果****

屋上を緑化することで、間接的に得られる効果としては、建物の断熱効果があります。植栽によってつくりだされる日陰は、夏の強い日差しが屋上に直接照りつけるのを防ぐので、屋上の表面温度の上昇を押さえる効果があります。 また、屋上に土を入れて屋上庭園をつくる場合は、土の厚さにもよりますが、断熱材の役割も果たすので、夏は涼しく、冬は暖かく生活できます。(植栽用の土のみで建物の断熱性能をまかなうと、膨大な量の土が必要となるので、土による断熱効果は、あくまでも補助的なものとなります。) 建物の外観上も、バルコニーや屋上を緑化することで、立体的で、より多くの植栽を街並に提供できます。


****屋上庭園の注意点****
1.荷重の問題

建物は、使われ方によって、どれくらいの荷重がかかるかを想定して計画します。住宅、店舗、事務所などの使用用途によって、床にどれくらいの荷重がかかってよいかの最大値が違い、その用途、最大荷重を満たすように、建物は計画されます。 屋上を緑化する場合には、建物を計画するとき土の程度土を入れるか、また庭石や灯篭など重いものを置くときは、あらかじめそれらの荷重が屋上にかかる前提で、建物を計画する必要があります。 既存の建物の屋上を緑化するときは、最初に建物の設計者などに、どの程度の荷重(土や石など)を屋上に乗せてよいか、確認する必要があります。過大な荷重をかけると、建物自体の耐用年数を縮めることになります。あまり荷重をかけられない場合は、自然の土の1/3程度の重さの人口軽量土を使用すれば良いでしょう。 バルコニーも荷重に関しては、同様のことがいえます。 マンションのバルコニーの場合は、荷重の問題と同様に重要なことは、非難経路の問題です。通常マンションのバルコニーは共用部分となっていて、隣の住戸などとの共用の非難経路となっています。自分のバルコニーに非難器具(非難ハッチなど)があるなしにかかわらず、非難の障害にになるような緑化計画はたてないように心がけてください。

 
2.防水対策

屋上庭園は、地上より煩雑に水やりをします。また、注意しなければならないのは、植物の根が建物本体の防水層に傷をつけて、建物が雨漏りしてしまうことです。 土をいれるときは、その場所の防水層の防根対策として、専用シートを貼るなどの対策が必要です。

 
3.排水について

屋上やバルコニーでは、雨水や水やりのとき、植栽の土壌の流出や落ち葉などで、排水孔がつまることがあります。緑化計画をおこなうときは、排水孔の位置を念頭に入れて、排水孔のまわりに土や落ち葉が入らないように網などを取り付け、つまったときも、容易に点検できるようにしておくことが大切です。

 
4.風対策

風の強さは、高いところにいくにしたがって強くなるので、屋上に植栽するときは、地上より充分な風対策が必要です。 ある程度の樹木を植えるときは、強風で樹木が倒れないような対策が必要です。また、強風による土の飛散を防ぐために、土の部分が露出しないように、地被類などを植える方法もあります。風を遮断する方法として、テトリスなどを屋上の手すりに使う方法もあります。

 

屋上庭園は住まいの一部ですが、庭園だけでなく、家庭菜園の場にもなり、パーティーなどを楽しむレクリエーションの場にもなります。上記の注意事項に気をつけて、オリジナリティーのあるやすらぎの場を創造してみてください。

 
  • 写真撮影:マンション「スクエア」屋上
    設計:谷内田 章夫(ワークシップ)

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    タカギオフィスプランニング
    TEL:03−5468−5451

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