〜ぽけ・び!ってなに?〜
写真・文 森の人 泉 健司
ただ美しいだけのガーデニングに飽き飽きしたあなたに、新世紀ガーデニング、ビオトープ・ガーデンの考え方を紹介します。
 

■ビオトープ・ガーデン

簡単に言ってしまえば、ビオトープ機能を持った庭のことなんです。ビオトープ(biotope,biotop)はドイツで生まれた言葉で、『ビオ』はBIO=生命、『トープ』はTOPE,TOP=場所をあらわすラテン語、この二つの言葉を組み合わせた造語が『ビオトープ』です。意味は『野生生物のための生息空間』。

ビオトープ・ガーデンは、私たち一人ひとりでも始められる自然保護の方法の一つと して、5年ほど前から僕が提唱してきた新しいガーデニ ングのコンセプトです。でも、名前が長くって呼びにく いですよねえ。何年か前に開いた個展の時、もっとかわいい名前は?と言う訳で、ポケットビオトープ。それも 長いんで、略して「ぽけ・び!」。  

さて、ちょっと御近所を散歩してみましょう。私達の街に、自然なんて残ってたかしら?  

お隣のサザンカの生け垣の中のメジロやウグイス、ヒ ヨドリ、シジュウカラ。ベランダの花に思いがけなく飛んできたモンシロチョウやシジミチョウ、ミツバチ、ハナムグリ、テントウムシ。それから、モグラやコウモリ、 ヤモリ、トカゲ、カタツムリ、ガマガエル、アメンボにカルガモ。町なかに残された自然のかけらの中で、彼らも何とか生きていこうとがんばっているのです。じつは、都内でさえも、見かける野生の生き物たちの種類が意外に多いのを、もうお気づきですね。

■みんなでつくる理想のぽけ・び!

ビオトープの場合は、食事や休息、隠れ家、繁殖地など、全ての機能を兼ね備えていなければなりませんが、 ベランダなどではそれは最初から無理な相談です。むしろ「私は蝶が好き」、「子供に見せたいから、イモムシも」、「わが家に小鳥を呼びたい」、「トンボのいる庭がいいな」なんて、みんながわがままを言ってそれぞれが理想のビオトープ・ ガーデンを創った方が、マンションや町全体のレベルでは、すべてのビオトープ機能を持つことになるのです。

そんなわけで、「小鳥たちはかわいいけど、カラスや ドバトはイヤ!」、「トンボやチョウチョは来て欲しいけど、イモムシやカはどうもね」、「野良猫のイタズラ ってどうにかならないの?」という方たちのためにもい くつか工夫をしてみました。身近な自然の生き物たちと、 もっと上手に仲良くできるといいですよね。

■あなたの窓辺は「生命のゆりかご」

あなたの庭に、ベランダに、少しの緑と、ささやかな水飲み場と、餌台と。たったそれだけでも、あなたの窓辺は「生命のゆりかご」に変るはず。ちょっとしたくふうや気づかいで、身近な生き物たちともっと楽しく、も っと親しく、一緒に生きていけるはずです。そして、も っと大事なのは、そんな窓辺の小さな自然のかけらをつなぐ、生け垣や街路樹、道端の雑草、川沿いの土手、公 園や神社の森、たんぼや畑や山や河や海。窓辺のゆりかごをつなげて大きな生命のハンモックにする、あなたの身の回りの自然をもっと豊かに育てることです。

プロフィール

いずみ けんじ
泉   健司

http://www.biotope-garden.com/
ビオトープ・ガーデン提唱者、植物生態コンサルタント、 自然造形作家 1954年愛知県豊橋市に生まれる。
東京農業大学農学科副手を勤めた後、環境アセスメント をはじめとした各種植生調査、フロラ調査の仕事に従事。 ビオトープ・ガーデンを提唱し、TVを初め様々なメディ アで紹介されている。またフラワーアレンジメントや自 然造形物を素材としたクラフト、コンピューターグラフ ィクス、環境音楽の制作など、多岐にわたる活動を行っ ている。
教育活動にも力 を入れており、東京バイオテクノロジ ー専門学校や東京医薬専門学校の非常勤講師も勤める。
農学修士。マミフラワーデザインスクール登録講師。


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