ぽけ・び ビオトープ・ガーデンの楽しみ
〜食草で蝶を呼ぶコンテナガーデンぽけ・び!風〜
写真・文 森の人 泉 健司
子供といっしょに、イモムシから観察したいと言う本格派向きの寄せ植えを紹介します。
 
 

■ポイント

この方法なら、蜜で呼ぶより確実にチョウを呼ぶことが出来ます。子孫を残そうとする本能は食欲よりも強いようですね。

  1. 幼虫の餌になる植物(食草)を、他の植物と一緒に植えます。
  2. 幼虫が殖え過ぎたら、おすそ分けしましょう。
おすそ分け?(^^;

学生のお子さんのいるお宅なら、学校のお友達におすそ分けしてあげるのも良いでしょう。最近では、食草と幼虫をセットにした教材としてビオトープ・ガーデンセットを販売する業者もいるくらいですしね。買うと、高っか〜いんですよ!
芝生の雑草、カタバミに来たヤマトシジミ
芝生の雑草、カタバミに来たヤマトシジミ。
根絶やしにするのが難しいこの雑草を食べて都市部で急速に殖えているが、幼虫時代をアリの巣の中で暮らすと言う特殊な生態を持つため、飼育は難しい。
 

■食草色々

ガーデンスタイルごとに使い分けるのも楽しい。
町中でも良く見かけるチョウの食草をちょっとだけ御紹介。前回の「花で呼ぶ方法」を上手に組み合わせ、自由に作ってみましょう。

例えばアゲハチョウ。ナミアゲハやクロアゲハ、カラスアゲハはミカン科の植物を食べますが、キアゲハは セリ科、アオスジアゲハはクスノキ科と言う工合に好みがはっきりと別れているのです。ですから、植えるものを選べば、簡単に呼びたいチョウだけを呼び寄せるなんてことが可能になるのです。

もっと詳しく知りたい方は
http://homepage.mac.com/kenjiizumi/okiniiriwoyobu.html
の一覧表を参考にして下さい。

 
レースフラワーを食べるキアゲハの幼虫
レースフラワーを食べるキアゲハの幼虫
 

食草で呼ぶなら、キッチンガーデン風の寄せ植えがお勧め。キアゲハは セリ科の ニンジン、パセリ、セロリ、フェンネル、アンジェリカ。花壇の花として楽しみたいのなら レースフラワー、エリンジュームなどがお勧めです。日陰ならミツバ、アシタバなど。

ナミアゲハやクロアゲハ、カラスアゲハは、ミカン科のレモン、ユズ、ダイダイ、キンカン、ミカン、ルーなど。サンショウは日陰の庭向きです。

アオスジアゲハはクスノキ科の街路樹のクスノキを食べ、都市部で良く見られるようになったチョウです。クロモジ、ゲッケイジュ、シナモンなど。日向日陰共に大丈夫な植物ですが、クスノキやゲッケイジュはすぐに大きくなるので注意が必要です。

スジグロシロチョウはアブラナ科でも アクの強そうなダイコン、クレソン、スト ック、 ウォールフラワー、バージニアストック、スイートアリッサムなどが好みで、その他にナスタチュームも食べます。もともと林の縁などの日陰を好むので、都会のビル影で増加しました。

モンシロチョウは元々キャベツと一緒に日本に入って来たチョウなので、アブラナ科でも野菜っぽいアブラナ、キャベツ、ルッコラ、ブロッコリー、ハボタンなどが好みです。

モンキチョウは団地の芝生に生えるシロツメクサを食べて殖えています。マメ科のストロベリーキャンドルやブルークローバー、アルファルファなどがお勧め。

 
■虫食いの葉は、無農薬のしるし

イモムシから育てて、我が家ブランドのチョウたちを巣 立たせてみたい方は、ぜひ食草を植えてみてください。こ れは、場合によっては花でチョウを呼び寄せるときよりも はるかに確実に呼べます。卵を産める植物のある場所は、住宅地などでは極端に限られるので、チョウの方も必死で探すからなのです。ですから、一度見つけた場所は忘れずに何回もやって来ては卵を産みつけます。そればかりか、 幼虫たちの食欲はものすごい。小さめのミカンの木なら、たった数匹であっという間に葉を食べつくしてしまいます。

澁谷郵便局裏に生えるミカンの葉を食べて、羽化したばかりのナミアゲハ
澁谷郵便局裏に生えるミカンの葉を食べて、羽化したばかりのナミアゲハ

イモムシが多すぎるようなら、ご近所さんやお友達にお裾分けしましょう。野生の食草が生えているところを、前もって調べておくのも一つの方法です。それはハーブ類に関しても同じこと。人間の食材用としても育てたいなら別 の鉢や場所を確保します。虫食いの葉は無農薬のしるしと言えるぐらい、ゆったりした気持ちで取り組んで下さいね。

確かに、とっても効率の悪いことを言っているのは承知しているのです。イギリスの民話や童話には「半分は、妖精のためにとっておく」という言い回しがときどき出てきます。これは、日本とは比べ物にならないほど、貧相な生態系の多様性しか残されていない場所で、何とか生き延びてきた人たちの知恵とも考えられます。

日本の山菜取りの人たちが「半分は来年のために残しておく」と言うのとを 比べてみると、何となく配慮の質が違うように思えてきます。自分だけのためや生産効率ばかりを追い求めるうちに、何かもっと大切な物を失ってきたのは、僕たち自身だったのではなかったでしょうか?

「半分は、妖精のためにとっておく」
生態系のバランスは、最新の生態学をしてもわからないことだらけ。こんな、謙虚な 姿勢を大切にしていきたいものです。

詳しくは: 私のポケットビオトープ
http://www.biotope-garden.com/
「好きな生物を呼び寄せるには」
「春のコンテナガーデンぽけ・び!風」
を参考にしてください。

プロフィール

いずみ けんじ
泉   健司
ビオトープ・ガーデン提唱者、植物生態コンサルタント、 自然造形作家 1954年愛知県豊橋市に生まれる。
東京農業大学農学科副手を勤めた後、環境アセスメント をはじめとした各種植生調査、フロラ調査の仕事に従事。 ビオトープ・ガーデンを提唱し、TVを初め様々なメディ アで紹介されている。またフラワーアレンジメントや自 然造形物を素材としたクラフト、コンピューターグラフ ィクス、環境音楽の制作など、多岐にわたる活動を行っ ている。
教育活動にも力 を入れており、東京バイオテクノロジ ー専門学校や東京医薬専門学校の非常勤講師も勤める。
農学修士。マミフラワーデザインスクール登録講師。


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