ぽけ・び ビオトープ・ガーデンの楽しみ
〜8月 鳥を呼ぶ 水場を作ろう〜
写真・文 森の人 泉 健司
お皿などを使った簡単な水場の作り方を紹介します。

野鳥の水場を作ろう!

「こんな町中に野鳥なんて」って思ってませんか?
実は、都会といえども結構いろんな小鳥たちが生活していて、たとえば渋谷あたりでも、スズメはもちろん、シジュウカラやメジロ、コゲラ、ヒヨドリ、ムクドリ、キジバトなどは、季節を問わ見ることができるのです。明治神宮周辺では、なんとオオタカや、季節によってはホトトギスさえやってきます。みんな結構たくましく生活しているものなんです。

ところが、そんな野鳥たちにも、悩みが。
それは、水場とカラス。

市街地の水のある場所を観察してみると、たいていはコンクリートの垂直な縁取りのおかげで、小鳥たちの利用できそうな浅い水場がほとんどないんです。ですから、カラスにいじめられる心配のないベランダなどに小鳥用の水場を作ってあげれば、必ずと言っていいほど利用してくれるはずです。

玉川上水の水際で水を飲むスズメ。水浴びもする。

都市化の進んだエリアには、小鳥たちにちょうどよい深さの浅瀬を持つ水場はまず見つからなくなってきている。
 
  ■ポイント
*無防備になるので 明るく開けた場所に鳥の水場を
*足が滑らないように、小石を入れておく
*水の深さは1cm程度、深すぎてはいけません
*毎日水を換えましょう


*無防備になるので 明るく開けた場所に鳥の水場を

玉城さんちのすずめくん
幡ヶ谷にお住まいの玉城さん、ベランダに鉢皿を利用して水飲み場と餌場を作ってくれました。最近では見たこともないような野鳥が時々やってくるんで、ドキドキさせられるそうです。

鳥の水場は、鳥が餌場にいる時よりもっと無防備になる所です。鳥自身もそれを知っているので、安全が保障されている所にしかやってきません。ですから、できるだけ見通しのいい明るい場所に設置したいもの。

そういう点ではマンションのベランダなどはネコやカラスという外敵がこないので、意外に多くやってきます。餌台を置くより水場を設けたほうが鳥の集まる確率は高いようです。

鳥が多いと困るのがフンの問題。物干し台の近くに餌場を作るのは、考え物ですね。

小鳥たちの糞は、ドバトなんかに比べたら本当にささやかなもの。汚れに嘆くより、いろんな鳥から排出されたフンには野山から運ばれた様々な種子も混じっていますから、プランターの中からいつか芽を出す謎の植物に期待してみてはいかかでしょう。大事に育てれば、あなたのベランダもさらに一歩、すてきなビオトープ・ガーデンに近づきます。


*足が滑らないように、小石を入れておく

パスタ皿を利用した水場の例。
滑らないように小石を入れて、ひたひたに水を入れます。小鳥は足が短いので、深くしないこと。

左の画像は、パスタ皿を利用した例です。白く光るものは怖がるので、なるべく地味な色のものを選びましょう。わざわざ買ってこなくても、使わなくなった水盤なども利用できます。

お皿の底には、滑り止めに小石を敷きましょう。できればガーデニングショップで売っているような「伊勢錆」のように表面がざらざらなものの方がよいのですが、もちろんふつうの小石でもかまいません。小鳥の足の爪がお皿に当たらないように薄く敷き詰めてあげましょう。

*水の深さは1cm程度、深すぎてはいけません
水の深さは1〜2cm程度、小石がひたひたに見え隠れするぐらいが目安です。小鳥たちの足の長さに合わせてあげるわけ。あんまり深くすると、ドバトやカラスが行水に来てしまうかもしれません。

*毎日水を換えましょう
鳥の水場は、水飲み場であると同時に浴槽です。水浴びすることで、羽根の中の虫やゴミを落とします。小鳥がすべらないように石を入れるなどして浅めにすることが大事。
毎日忘れずに水を交換しましょう。常に清潔に保ち、そして、なにより気長に待つこと。たいていは1〜2週間ぐらいで、小鳥たちが遊びに来てくれるはずです。
小鳥たちが来たら、カーテン越しにそっと見守ってあげましょう。脅かすのは、禁物です。

先月紹介した「トンボを呼ぶ睡蓮鉢」
実は小鳥たちの水場にも利用できるんです。半分に仕切った浅瀬の方で、小鳥たちが水浴びできます。
深沢共生住宅の例
コンクリート製の池の段差を埋めるために、小石を入れています。わずかな浅瀬を見つけて、毎朝小鳥たちが水浴びに来ます。すでに庭に池をお持ちの方でも、こんなちょっとした工夫で、野鳥たちと仲良くすることができます。

泉 健司氏のホームページ「私のポケットビオトープ」
http://www.biotope-garden.com/
もご覧下さい。

プロフィール

いずみ けんじ
泉   健司
ビオトープ・ガーデン提唱者、植物生態コンサルタント、 自然造形作家 1954年愛知県豊橋市に生まれる。
東京農業大学農学科副手を勤めた後、環境アセスメント をはじめとした各種植生調査、フロラ調査の仕事に従事。 ビオトープ・ガーデンを提唱し、TVを初め様々なメディ アで紹介されている。またフラワーアレンジメントや自 然造形物を素材としたクラフト、コンピューターグラフ ィクス、環境音楽の制作など、多岐にわたる活動を行っ ている。
教育活動にも力 を入れており、東京バイオテクノロジ ー専門学校や東京医薬専門学校の非常勤講師も勤める。
農学修士。マミフラワーデザインスクール登録講師。


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