これから、野生の生き物たちにとっては本当に厳しい季節。特に残された自然の乏しい都会では、冬の終わり頃には食料になりそうなものはほとんど底をついてしまいます。こんな時こそ、身近な生き物に優しくしてあげましょう。きっと、仲良くなれるはずです。
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■鳥の餌台を作ってみよう
一口に餌台と言っても、素朴なものから洒落たエクステリアになるものまで様々です。でも、手始めは、やっぱり手軽にはじめられるのが一番です。
第一、「私の家の庭やベランダに、小鳥なんて来てくれるのかしら?」そんな不安もある中で、はじめからお金がかかるのも大変です。実のなる木を植えると言ってもなかなか気に入るものが見つからないことだってあります。
まずは、とても安くて簡単に出来る餌台を試してみましょう。
上の画像は、プラスティック製の鉢皿を利用した餌場です。100円ショップなどで手に入れる事もできますよね。それじゃぁ、あんまりだ、と言う人は素焼きの鉢底皿がおすすめ。こちらは素材感もよく、300〜500円ぐらい。猫のこないベランダなら、直においても大丈夫。
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■なるべくカラ付きの餌を
餌はナッツ類や果物、穀類など。鳥が自然の中で食べているものを、食べやすい形にしてあげることが大切です。ただし、殻なしの小鳥の餌やハト用の餌、パンくずなどを置くとドバトばかり集まってしまいます。ヒエやアワなどの小鳥の餌を置くときも必ず殻付きをあげましょう。ヒマワリの種はシジュウカラやカワラヒワの好物です。空き地に生えているエノコログサやイヌビエ、セイタカアワダチソウなどと言った雑草の種を穂のまま摘んできて束ねて餌台に乗せておいても良いでしょう。小麦粉2、マーガリン1、砂糖1の割合で造ったバードケーキも大好物。
メジロやウグイス、ヒヨドリのためには、カキやリンゴ、ミカンなどを切ってあげるとよいでしょう。ジュースを小さなコップに入れて餌台に置いておく人もいるようですね。
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■害になるもの
殻付きピーナッツはシジュウカラの好物ですが、塩分のないものをあげるように注意してください。食べやすいように殻の両端を切っておくと親切かも。その他、ドライフルーツや、ポテトチップスのような菓子類なども鳥たちには有害なので控えましょう。ラードやヘットをシジュウカラのためにあげる人もいますが、カラスの好物でもあるので、やめておいた方が無難でしょう。
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■もうちょっと本格的に。
小さなザルに麻ヒモを3カ所通して木の枝にぶら下げたり、下の画像のような本格的(と言っても簡単ですけど)な餌台を作ってみるのも良いかもしれません。注意することは一つだけ。縁取りの板の間をぴったりさせずに少し隙間をあけてください。そこから雨水が抜けます。縁取りはしっかり止めたいという方は、後で底板にドリルで水抜きの穴を開けてくださいね。お好みで下の例のように鳩用や小鳥用の水飲み鉢をおいても良いでしょう。
餌台の設置は巣箱と同じで、ネコに荒らされないように地面
から最低でも1メートルは放します。
よく、餌台にスズメがくるのを嫌う人がいます。でも、スズメは警戒心の強い鳥なので、ほかの鳥たちは彼らがいるのを見て安心してやってくるようになるのです。やさしく見守ってあげましょうね。(^。^;
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さっそくメジロがやってきた。
茶色の壺はハト用の水飲み場を流用したもの。
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■シジュウカラの餌ポット
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'97年「生命のゆりかご展」の会場の写真で申し訳ないです。500mlぐらい入るペットボトルがかわいかったんで、作ってみました。
野鳥の呼び方が紹介されている本を探すと、必ずと言っていいほど出食わすタイプですが、あんまり大きいのもねえって思ってたら、ちょうど良い大きさのが発売になったんで、つい、ね。
ポイントは止まり木から2cmぐらい上に種をつまみ出す穴を開けてあげること。穴の大きさは縦2cm横1cm程度。
ヒマワリの種がこぼれず、取り出しやすい大きさにします。
ワイヤーをさして取っ手にしたら、できあがり!
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■小鳥のためのリース
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戸口付近に飾って、ぼろぼろになっていくのを自慢するのも楽しいかも。
「ああ、あれ?小鳥が来て、食べちゃうのよね」なんて、ちょっと気怠そうに。ふふ。私はいかにも自然保護活動しています、っていうよりも、その方がさりげなくって格好いいかもしれません。
まず、 庭仕事で出たツルや小枝でリースの土台を作ります。ただぐるぐるからげるだけでもOK!小鳥が食べるときの足場にもなります。
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ヒエやアワ、エノコログサ、アオビユ、ヒマワリ、アマランサス、ノイバラなど何でも束ねてくくりつけます。
これは、NHKおしゃれ工房で紹介してもらったもの。
スタジオに持っていく前に置き場がなかったんでに外に吊しておいたら、ヒマワリの種はずいぶん食べられちゃいました。カワラヒワの好物だしね。
面倒な人は、雑草の穂を束ねて逆さに吊して、ワンポイントに松ぼっくりやちょっとしたドライフラワーを添えるだけでも、野趣豊かで立派なドアスワッグになります。
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■野鳥に甘やかしは禁物 |
基本的に餌台の活用は冬場だけにした方いいでしょう。餌台にパン屑などを置けば、鳥はくるかも知れません。でも野鳥たちはそこで生活するわけではありません。
鳥も学習能力を持っていますから、つい餌台をあてにしてしまいます。あなたがちょっとした旅行に行っている間に野鳥たちが路頭に迷ったりというのも、困りもの。ですから、できるだけ自然の恵みである実のなる木や草をたくさん植えた方が、結果
的には鳥たちのためなのです。かわいいからと言って餌をあげすぎると、結局は野鳥もドバトやカラスの仲間入り。ご近所から苦情が来かねません。
でも、餌が少なくなる冬には、少しだけお手伝いしてあげましょうね。
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■彼らも必死で生きてるんです! |
冬場のガーデニングに華を添える小鳥たち、でも、見方によっては庭を荒らす困ったちゃん。もともと餌の少ない都会では、花壇の花や若葉も鳥たちには貴重な食料なんです。
六本木アークヒルズガーデンの杉井明美さんも、ハボタンやコブシのつぼみをヒヨドリに食べられて怒ってましたが、あそここそ野鳥たちの視点から見れば都会の中のオアシス。おいしい木の実や柔らかな葉っぱが繁っているのをついばんだからと言って、怒られてもねぇって感じがします。あそこを訪れる人たちも野鳥の多さに驚き楽しんでいるのですから、ささやかな餌台をおいて熟れすぎた柿のみでも置いてあげれば、喜んでそちらばかりを食べるようになって花壇の被害をなくすことが出来るんですけどね。プレオープンの時にそんなアドバイスをして差し上げたけれど、あれからどうなったかなぁ。
フォーシーズンガーデンのシンボルツリーに遊びに来た、カワラヒワのつがい。
他にも、ヒヨドリ、メジロ、ヤマガラ、キジバト、スズメ、そしてカラス、ドバトなどがやってくる。
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プロフィール
いずみ けんじ
泉 健司 |
ビオトープ・ガーデン提唱者、植物生態コンサルタント、 自然造形作家
1954年愛知県豊橋市に生まれる。
東京農業大学農学科副手を勤めた後、環境アセスメント をはじめとした各種植生調査、フロラ調査の仕事に従事。 ビオトープ・ガーデンを提唱し、TVを初め様々なメディ
アで紹介されている。またフラワーアレンジメントや自然造形物を素材としたクラフト、コンピューターグラフ ィクス、環境音楽の制作など、多岐にわたる活動を行っ
ている。
教育活動にも力 を入れており、東京バイオテクノロジー専門学校や東京医薬専門学校の非常勤講師も勤める。
農学修士。マミフラワーデザインスクール登録講師。 |
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