「イースターは黄色一色」
取材・文 岩井 京子

道ばたのクロッカスが白、黄色、紫と可憐な花を咲かせ、寒さも和らぐ頃、まだ灰色をした街路樹の間から桜の枝に淡いピンクの花が一斉に開き、レンギョウは鮮やかな黄色で街角にアクセントをつけます。

この時期は街の花屋は勿論、道ばたや園芸農家の球根畑にも黄色が目立ちます。道路脇や庭先には大小さまざまな水仙がこぼれんばかりに咲き乱れていますし、地を這うようにリュウキンカの黄色い小花も緑色の大地の上に散りばめられ、単調な街の色合いが俄に黄色く華やいできました。

毎年2ヶ月間の会期中に80万人以上の人が訪れるキューケンホフ公園は、今年も予想に違わず息をのむような美しい庭園を披露しています。

庭園内は、三分咲き、五分咲きの花壇も多く、これから5月初旬が最も華やかになりそうです。

一方、5つあるパビリオンは、さすが屋内だけあって、何時行っても期待を裏切ることはありません。

溜息をつきたくなるほどの華麗なディスプレイと香しい花の香りは見る者を圧倒します。

今年から、4月20日以降の金・土曜日に限って夜間もオープン。たそがれ時、照明に照らし出された園内は、また、日中と異なる趣を見せてくれることでしょう。

春といえば、復活祭を忘れるわけには行きません。灰の水曜日から始まる四旬節の終わりにやってくる復活祭、それはキリストの復活を祝うと共に、長い冬が終わってようやく春に向かう喜びを表す祭りでもあるのです。

祝う日は毎年変わり、3月21日以降の満月から数えて最初の日曜日と決められています。今年は4月15日。宗教色はかなり薄れ、人々はイースターマンデーと呼ばれる月曜日までの3連休(場所によっては聖金曜日も含めて4連休)をどうやって過ごすか、うきうきした心で迎えます。

イースターが近づくと、卵の殻に美しい彩色を施したイースターエッグ、卵の形をしたチョコレート、おなじみのイースターラビットなどがあちこちのショーウインドーに並びます。

花屋の店先も勿論イースターを意識したアレンジメントがずらり。ここでもなぜか、黄色が主役です。葉ものを中心に、小ぶりの卵や黄色く染め上げた羽をあしらったアレンジをたくさん見かけました。キューケンホフで見つけたイースターアレンジは、これも見事なワンカラーコーディネートでした。

 

花の種類によって微妙に異なる黄色をうまく取り合わせて、野ウサギの茶色と天井からつり下げられた卵の白さが自然を愛でる気持ちをうまく表現していますね。

街中のあちこちに建つオープンマーケットのチーズ売場で見かけたイースタールック。売り子さんの髪にいくつも飾られた髪留めはなんと「ひよこ」です。

キューケンホフ公園:春の開園は5月24日まで(夏の開園は、8月2日から9月16日) http://www.keukenhof.nl/



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