取材・文 / 近藤奈保子

シンガポールといえば、暖かい気候、自由貿易、華僑をはじめとする多民族国家、クリーンな国などを連想されると思いますが、やはり蘭をこの国の象徴としてあげられる方が多いのではないでしょうか。私もその一人です。縁があるのでしょうか、今回で5回目のシンガポール旅行となりました。実際に自分で歩いて、街の様子を肌で感じることができるのは、ほんのわずかな地域に限られてしまうのですが、訪れるたびに新鮮に感じ、新たな発見があります。ここにご紹介する「シンガポール国立蘭園」、「マンダイ蘭園」もそのひとつです。


|シンガポール国立蘭園|
|マンダイ蘭園|

美しいデンドロビーム
シンガポール国立蘭園は、シンガポール植物園のなかに併設されており、1995年にリニューアルオープンしました。以前は無料だったのですが、いまは有料です。でも入園料は$2(約130円)です。現在この蘭園には700の原種、2100種類の交配種があるといわれています。このなかには大変珍しい300の原種、500種類の交配種が中央・南アメリカから集められていて、毎年新しい交配種が誕生し、増加の一途をたどっているとのことです。 まさしく世界最大級の野生の蘭を楽しめる庭園です。 なかに入ると甘い花の香りが漂ってくるのに感激しました。園内はすこし傾斜のかかった細い道が続いています。案内通りにたどって行くと、広い敷地をぐるりと一周できるようになっています。 あとで知ったのですが、この傾斜は一番高い位置から水やりをはじめ、水が根元に溜って根腐れを起こさないように、水はけを考慮して設けられたそうです。シンガポールの国花であるバンダが多く目につきました。色も種類もたくさんあり、その生育の良さに圧倒されました。 「Pine Rivers」と書かれてあるところには、背の高い木に蘭が根をおろしています。また「Chark Kuan」と記された黄色の蘭は背が高く、金属の棒で添え木をあてられていました。階段の両脇に白、紫に白が混じったデンドロビュームが咲き乱れ、暑く湿度の高い場所で、香りが沸き立つように感じました。

シンガポール国立蘭園入り口
蘭園のきれいな看板
Pine Riverと書かれた木に絡みついて咲く蘭
Pine Riverの看板
暑さよけのShadeも用意されています


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