取材・文 成子 由貴

鬱陶しい梅雨の時期、アジサイと並んで雨に良く似合うのはハナショウブでしょう。ちっと時期が過ぎてしまいましたが、レポートします。
各地にハナショウブの見どころはたくさんありますが、今回は東京葛飾の「堀切菖蒲園」へ行ってきました。
 

堀切菖蒲園
 
霞の奥

京成線堀切菖蒲園駅から歩いて10分ほど、荒川に近い場所にあります。この辺りは昔から湿地が多く、江戸時代から明治時代にかけて多くの菖蒲園が開園しました。全国から色々な品種が集められて江戸の人々の初夏の行楽名所となり、歌川豊国の堀切菖蒲花盛図や安藤広重の名所江戸百景など多くの錦絵に描かれています。

その後多くの菖蒲園は閉園されてしまいましたが、「堀切園」だけが昭和35年から東京都立堀切菖蒲園として再開されて公開され、その後葛飾区の管理する公園となりました。

「いずれアヤメかカキツバタ」という言葉があるように、「アヤメ」「カキツバタ」「ハナショウブ」「アイリス」・・・これらはどれも同じような花に見えますよね。私もずっとこれらは同じ植物なのか別のものなのか疑問に思っていました。

大紫

これらは同じアヤメ科アヤメ属の近縁植物ですが、古くから名前が混同されて来たようです。そもそも日本に自生していたハナショウブの原種もアヤメと呼ばれており、品種改良された園芸種もアヤメと呼ばれたりハナショウブと呼ばれたり・・・さらに、五月の端午の節句で行われる菖蒲湯のショウブはハナショウブとはまったく別の植物(サトイモ科ショウブ属)なのだそうです。堀切菖蒲園の園内の看板にこれらのことや見分け方が書かれていて、今回初めて知りました。

「アヤメ」「カキツバタ」「ハナショウブ」の見分けるポイントは花の付け根の模様と葉の筋や色で、次の表の通りです。また「アイリス」というのはアヤメ科アヤメ属の学名「Iris」のことで、主に外国産のものをそう呼んでいるようです。

 
種類 花の付け根 植える適所 開花期
アヤメ 細く筋が無い 網目模様 乾いた場所 5月上旬〜中旬
カキツバタ 筋が細く黄色っぽい 網目なし 水中や湿地 5月中旬〜下旬
ハナショウブ 筋が太い 網目なし 湿地 6月上旬〜下旬

毎年6月上旬から中旬にかけて菖蒲祭りが行われていますが、今回訪れた6月20日過ぎにはもう盛りが過ぎてしまっていました。でもハナショウブ以外にもたくさんの植物が植えられていて、色とりどりのアジサイが咲いていました。駅から菖蒲園までの道は商店街となっていて、ハナショウブの絵入りグッズや佃煮など昔ながらの店が並び、梅雨の合間にのんびり散策するのも楽しいものです。

<堀切菖蒲園> 
所在地: 東京都葛飾区堀切2−19−1
問い合わせ: 公園管理事務所 TEL03−3697−5237
開園時間: 6月1日〜25日: 8時〜18時
6月26日〜30日: 9時〜17時
その他: 9時〜16時30分
入園料: 無料
交通: 京成線堀切菖蒲園駅下車 徒歩約10分
URL: http://www.katsushika-sangyo.or.jp/kanko/spots/horikiri.html


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