川辺リでのお花見
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★江戸時代になると今のお花見スタイルが確立されました。政権が徳川家になり、政治基盤が江戸に移ったのを期に、上野や隅田川の河川敷きに桜が大量に植えられました。
さらに、町民や商人が中心となる活気に満ちていた時代背景も重なって、老いも若きも武士も庶民も皆が楽しめるお花見へと大衆化していきました。
女達はここぞとばかりに化粧を施し、お花見のために小袖を新調するほど春のファッションは花見小袖が流行の最前線でした。
満開の桜の下で人々はござや敷物を敷いて、漆塗りの蒔絵のお重に詰められた豪華絢爛なお花見弁当をぱくつきながら、徳利酒でちょいと一杯。
ほろ酔い気分になれば多少の喧嘩も御愛敬。てぇやんでぃ、べらぼうめい。花より団子の江戸人気質はお花見にはもってこいでした。
★ 江戸の中期になると長命寺の小僧が掃いても山のように積もる桜の落ち葉に手を焼き、考えた挙げ句、冬の間塩漬けにした葉であんの入った餅をくるみ、春の開花を兼ねて物見遊山の参拝客に配ったところ、爆発的な人気を呼んで、あっと言う間に'長命寺の桜餅'として商品化されました。関東の桜餅は小麦粉で作ったどら焼きの皮をちょっと薄く、柔らかくしたような感じですが、関西の桜餅は道明寺粉というもち米の一種をそのまま使用したおはぎ感覚の桜餅です。
★今日の桜餅は3月3日の雛祭りに食べる習慣がありますが、そもそもはお花見のメインディッシュ。一度でもあの上品な甘みを醸し出す、なめらかなさらしあんとほどよい塩味のきいた葉が大きく丸みがかった大島桜の塩漬けの葉、桜色に着色され、ほのかに葉の塩漬けがうつったもちもちとした皮の絶妙な味わい。この三味一体が奏でる食感と味わいをぜひとも長命寺の桜餅なら染井吉野の下で、道命寺の桜餅なら山桜の下で塩漬けにした八重桜の桜湯とともに満喫したいものです。これこそがお花見の究極の極みかもしれません。
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